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7月号「所感」

 今月の所感のご紹介となります。  *2025年7月号 所感 ********************  先月ご案内させていただいた櫻井露葉先生による旅の特別イベント は、 予定定員を大きく超えるお申し込みをいただき、 キャンセル待ちが出るほどの反響がありました。 皆様の関心に改めて感謝申し上げる。 中でも、 50代の女性の参加者からこんなお話をいただいた。 「90歳を超えても、 書を続けておられる同性の方がいるというだけで希望になります。 同じ女性として、 こんな素敵な生き方をしている人に出会えることが嬉しいし、 これからの私の目標になります。 私は先生にお会いしたことがないのですが、 お会いできる日が本当に楽しみです。」  この言葉に、 小生も胸が熱くなった。 人生の後半において、目指したい背中があるということの尊さ。 書という世界が、そうした出会いや希望を繋ぐ場になっていることを、何より嬉しく思う。この企画を計画した妻と子供達に改めて感謝したい。  一方で、 「土曜日はお稽古が入っている」 「ご案内が急で予定が合わなかった」 というお声も複数頂いているそうだ。 そこで露葉先生と妻が相談をさせていただいたところ、 第二回目の開催が決定した。  開催日は 8月17日 (日)。 お申し込みは以下の通りです (※申込方法厳守にてお願いします)。  ・TEL:03-3471-8032  ・FAX:03-5461-1428  ・メール: shokyoin1933@gmail.com ※「所感を見た」 とお伝えいただければ、 本部で対応いたします。  二つ目は先月掲載した墨汁や墨に関する多くのお問い合わせ、 ご注文をいただきましてありがとうございました。 この度企業の協力を得て、 「書鏡」 ブランドのオリジナル墨汁と半紙が完成した。  複数の業者と交渉を重ね、 今の時代にふさわしい書き味と価格のバランスを考慮しながら仕入 れる予定だ。 もちろん、 お好みは人それぞれだが、 皆様の書の時間をより豊かにする一助となれば幸いだ。  このオリジナル商品の発売に先駆けて、 抽選で五名様に墨汁と半紙のセットをプレゼントいたします。  ・応募方法:上記連絡先と同じ (※申込方法厳守)  ・キーワード:「所感を読みました」  ・応募締切:7月10日 (木)  そして、 昨...

6月号「所感」

 今月の所感のご紹介となります。  *2025年6月号 所感 ******************** 第41回日本書鏡院選抜展を無事終了することができた。 ご来場いただいた皆様、ご支援を賜った方々に心より御礼申し上げる次第である。 今回の展覧会では、海外からの来場者に備え、ウクライナ出身のヨナ氏に通訳として協力いただいた。 驚いたのは本院の会員の中に、英語をはじめとする外国語に堪能で、来場者と交流する姿が見受けられたことは、嬉しい限りであった。言葉の壁を超え、書を通じて自然に交わされる交流の光景は、国境を超えて人々とつながる可能性を実感する機会となった。 90か国以上を旅された常任理事・櫻井露葉先生は、今年も鳩居堂選抜展にて「旅」をテーマにした作品を出品されている。 作品集には、旅先で得た感動や想いが綴られており、書を志す者として学ぶべきことに富んでいる。毎年、その旅の話を伺うたびに、年齢を感じさせない行動力と情熱に心を打たれ、力をいただいている。年齢の数よりも訪問した国が多く、ゴルフで例えるならエージシュートの価値があるだろう。  このたび、櫻井先生の貴重な体験談や旅にまつわる品々、写真などを交えたお話会を下記の通り開催する運びとなった。どなたでもご参加いただける機会であるので、ぜひ足をお運びいただきたい。  日時:6月28日 (土) 午後1時30分から1時間程度  会場:日本書鏡院本部(品川区南品川1-2-12) 旅にまつわる作品や品々を通して、書に込められた風景や感動を共有できるひとときとなるであろう。 こうした国際的な広がりの中で、昨年10月より開始した「海外の方向け書道体験」も、回を重ねるごとに確かな広がりを見せている。 これまでに14か国、60名を超える参加者を迎え、各国の言語が飛び交う中でも、筆を通じた心の交流が自然と生まれている。小生も家内も、英語が話せるわけではないが、身振り手振りと笑顔で言葉を超えたコミュニケーションを実感している。  このような活動を支えているのは、他ならぬ会員の皆様である。明るく前向きに取り組む講師陣の姿勢、そして「お金では買えない体験をさせてもらっている」という言葉に、小生も大いに励まされている。場の空気を和らげ、温かく包み込んでくれる彼女たちの存在に、心より感謝の意を表したい。  一方、近頃はニュースで...

5月号「所感」

  今月の所感のご紹介となります。   *2025年5月号 所感 ********************  今年の筆供養は直前にあいにくの雨に見舞われ、 海徳寺のご配慮を賜り本堂での供養が執り行われた。 終えた頃には、 雨も止んでおり、 境内でのお焚き上げが叶った。 燃え盛る火鉢の中へ役目を終えた筆を投入することが出来、 改めて道具への敬意を再確認する貴重な時間となった。  その後に行われた支部長会議では、 それぞれの支部長からさまざまな意見や、 今後の指導を含めた課題が寄せられた。  どのご意見も現場で実際にご尽力されている先生方だからこそ出て くるものばかりであり、 本部としてもこれらの声をしっかりと受け止め、 今後の運営方針にどのように反映していくか、 真剣に考えていきたいと思っている。  会員諸氏が書の活動をしやすい環境をととのえることが、 書の発展にもつながると痛感した。 早急に対応していきたいと考えている。  書道を取り巻く環境は少しずつ変化しているが、 だからこそ私たち一人ひとりが何を大切にし、 次世代へ何を伝えていくかが問われている時代だと感じる。 会員の皆さまが安心して活動できるような体制づくり、 そして書を通じて人と人がつながっていけるような機会を、 今後も増やしていければと考えていきたい。  4月29日より 「鳩居堂 選抜書展」 が開催される。 先生方の力作が一堂に並ぶ貴重な機会であり、 作品から得る学びが多いかと思う。 お近くにお越しの際は、 ぜひ会場へ足をお運びいただき、 それぞれの書に込められた思いや表現に、 じっくりと向き合っていただけたら嬉しく思う。    *(耕史記)****************************

4月号「所感」

  今月の所感のご紹介となります。   *2025年4月号 所感 ********************   春の訪れとともに、 荏原神社には多くの海外の方々が訪れ、 寒緋桜を堪能する姿が見受けられるようになった。 荏原神社のインスタグラムを見ても、 桜を背景に撮影した海外の方々の写真が数多く投稿されており、 この地域にも海外からの観光客が増えていることを実感するこのご ろ。  さらに、 冬の間は少し落ち着いていた海外の方々からの書道体験の予約も、 2月から再び増え始め、 平日以外の月に2~3回ほどのペースで申し込みが入るようになっ た。 今月はルーマニア、 フランス、 イギリスをはじめ様々な国の方々が書道への憧れを持ち、 体験に訪れてくれる。  彼らと筆を交え、 文化を共有する時間は、 私たちにとってもかけがえのないひとときである。  インバウンドメンバーたちも、 「お金には代えられない楽しさを、 この活動を通じて経験させてもらっている」 「何か協力できることがあれば」 といった温かい言葉をいただくことも多く、 書道をきっかけに国境を越えた交流が生まれていることに感謝の気 持ちで一杯だ。 異なる言語や文化の中で、 書道という共通の体験を通じてつながれることの素晴らしさを、 日々実感している。  そして、 これから夏休みに向けて、 より多くの海外の方々に書道を体験していただけるよう、 着々と準備を進めている。 海外の方々に 「Shokyo (書鏡)」 を知ってもらい、 日本文化の奥深さを伝える場を広げていくことが、 今後の目標だ。  さて、 4月6日には、 海徳寺で 「筆供養」 が開催される。 筆供養は、 使い古した筆への感謝を込めて供養し、 書に向き合う心を新たにする大切な行事だ。 しかし、 残念ながら参加者は年々減少しており、 その素晴らしさが十分に伝わっていないように感じる。  筆は単なる道具ではなく、 書く人の想いを受け止め、 形にする不可欠な存在だ。 日本の伝統文化の中で、 道具を大切にし、 役目を終えたものに感謝を捧げる心は、 美しい習慣の一つである。 特に書道に携わる者にとって、 筆は特別な意味を持つ。 一本一本の筆が、 私たちの手元でどれほどの時間をともに過ごし、 どれほどの想いを表現してきたのかを考...

3月号「所感」

  今月の所感のご紹介となります。   *2024年3月号 所感 ********************   先日、 ロイヤルパークホテルにて盛大に新年会が開催されました。 当日は、 防衛大臣中谷元先生、 石原宏高衆議院議員、 篠原りか都議会議員をはじめ、 政財界や文化・芸術の分野でご活躍されている多くの方々がご出席 され、 華やかな雰囲気の中で新年を祝う素晴らしい会となりました。 改めて、 このような場が開催できたこと、 嬉しく思います。  会場には多くの方々が集まり、 新年のご挨拶や交流を深める機会に恵まれ、 特に、 皆さまが書道や文化に対して高い関心を持ってくださっていること を実感する場面が多々あり、 有意義な時間を過ごすことができました。 書道を学ぶことは、 単なる技術の習得にとどまらず、 広くは日本の伝統文化を次世代へと継承してゆく役割を果たすもの です。 その意義を改めて確認できたことは、 私自身の活動においても大きな励みとなりました。  また、 新年会の中で特に盛り上がったのが 「くじ引きタイム」 でした。 多種多様な景品を用意し、 参加者の皆さまが期待に胸を膨らませながら当選を願う様子が壇上 から垣間見れて印象的でした。 景品の墨汁には人気が多く、 書への意欲を強く感じました。  今回の新年会を通じて、 多くの方々とのご縁を改めて大切にしたいと感じました。 新しい一年が、 書道を愛する皆さまにとって実り多きものとなりますよう、 心から願っております。 そして、 私自身も書の道をさらに深め、 より多くの方々にその魅力を伝えていけるよう努めてまいります。  会員諸氏のご協力を今後ともお願いする次第でございます。 ◇   ◇   ◇  4月から講座の新規受付を致します。  書道を学ぶ機会を更に広げ、 技術向上はもちろんのこと、 書を通じた交流の場としてもご参加いただければと考えます。  講座には 「仮名」 「条幅」 「臨書」 「隷書」 があり、 いずれも奥深い学びが得られる内容です。  初心者から経験者まで幅広く募集をしております。  *(耕史記)****************************

2月号「所感」

 今月の所感のご紹介となります。    *2024年2月号 所感 ********************   このたび、川崎の稲毛神社に奉納させていただいた 「天下泰平」 の絵馬が、 昨年と同様に1月31日まで川崎駅前にある岡田屋モアーズに展示 される運びとなりました。 多くの方に足を運んでいただき、 この絵馬を通じて私の思いを感じていただけたら幸いです。 この絵馬には、ただ美しい言葉を並べるのではなく、昨年発生した能登地震の被災地への祈りと、平和への願いを込めて筆を執りました。 筆を走らせながら思い浮かべたのは、地震の被害を受けた方々の生活や、一日でも早い復興を願う気持ちでした。  「天下泰平」 という言葉には、 能登だけでなく、世界中が穏やかで平和な日々を取り戻してほしいという私なりの祈 りを込めています。   岡田屋モアーズという多くの方が訪れる場所に展示されることで、この絵馬がより多くの方々の目に触れ、能登地震のことを思い出し、 共に復興を願うきっかけとなればと願っています。 そして、この絵馬は入札により支援金を募る形を取っており、 寄付金は全て被災地の復興支援のために使われるそうです。私の筆跡が、少しでも役に立つのであればこれ以上の喜びはありません。どうか、 お近くにお住まいの会員諸氏のみなさま方には岡田屋モアーズへ足 を運び、 この「天下泰平」の文字に込めた思いを直接感じていただきたいです。  書道という表現方法は、心の内にある思いを形にし、それを共有する力を持っています。この絵馬を通じて 、 書道が持つ祈りの力を改めて感じると同時に、文字が人と人を結びつける存在であることを強く実感出来るのです 。  また、能登を舞台にした 「まつとおね」という舞台が3月5日より3月23日まで七尾市の能登演劇堂にて はじまります。  戦国時代に天下統一を果たした豊臣秀吉に仕え、加賀 (石川) の地を治めた前田利家の正室まつと、秀吉の正室おね。  固い友情の絆で結ばれ、 武将の夫を献身的に支えながら動乱の世を生き抜いた二人の女性を 、 吉岡里帆さんと蓮佛美沙子さんが演じます。  能登の自然や文化、そしてその復興への願いを込めた作品が多くの方に届けられること を心から楽しみにしています。このような文化活動...

1月号「所感」

今月の所感のご紹介となります。   *2024年1月号 所感 ********************  明けましておめでとうございます。  本年もどうぞよろしくお願い致します。  年を重ねるごとに、 一年が過ぎるのが早いと感じます。 昨年は65回を迎えることが出来た日本書鏡院展、 その中で行われたウクライナ避難民の方に向けた書道体験・五年ぶ りに開催した御岳山講習・多くの事がありましたが、 会員諸氏の温かいご支援とご協力のおかげで、 無事に活動を進めることが出来た。  11月に行われた理事会では  「若い人に譲るべき時期が来ているのではないか」 「指導者として次の世代の指導者に技術や経験の機会を与えてほし い」  といった意見があり、 私達の活動を次世代へと繋げていくためには、 重要なテーマであることが理事の先生方にも認識されており胸をな でおろした。 現在の私達の組織は長年活動してきた諸先生方が中心となり運営し てきたが、 今後は積極的に書道に携わろうとしている新進気鋭の先生たちとも 融合し協力していかなければ、 日本書鏡院のこれからの発展はないだろう。 そのため、 小生は若手 (20代から) が挑戦できる場を提供するとともに、 指導者としての輝かしい場所をどんどん皆さんに提供していきたい と考えている。 指導者は、 単に技術や知識を伝えるだけでなく、 支部という形で運営を行い、 地域の中でコミュニティを築く役割を担っている。 支部は、 指導者がその経験を生かし、 自らの人生を心豊かにする場であると同時に、 高齢期において大切な 「つながり」 を提供する場でもある。 多くの方が 「誰かとともに活動できる場」 を求めており、 支部という存在がそのニーズを満たしているのは間違いないだろう 。 しかし、 時代が変わる中で、 これまでのやり方を続けるだけでは限界があるのも事実である。 支部運営においては、 次の世代を見据えた体制づくりが必要であると考えている。 また、 支部を立ち上げ、 地域で根付かせていくには、 本部の積極的なサポートも不可欠だ。 本部として、 指導者たちが活動を円滑に進められるよう支援し、 各支部のコミュニティが継続的に成長する仕組みを整えることが、 今後ますます求められるだろう。...