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3月【所感と、競書優秀作品のご紹介】

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あたたかな日差しと鳥の鳴き声の中で過ごす時間はとても心地よく、お稽古中ということを忘れてしまう季節となりました。お稽古に限らず、お仕事中、洗濯中など皆さまにもそんな経験があるのではないでしょうか。

どの季節にも訪れはありますが、春の訪れと共に新たに何かをはじめる方も多いのではないでしょうか。 書鏡院でも今月より、新たに競書優秀作品の紹介をはじめることとなりました。
初回となる今月は、学生部の優秀作品のご紹介となります。

まずは、書鏡3月号所感をご紹介いたします。

*2019年3月号 所感  *******************************************************

穏やかな二月の上旬、上野にある東京国立博物館へ足を運んだ。
 1月16日から2月24日まで「特別展-顔真卿ー王羲之を超えた名筆」が開催されている。
台湾にある国立故宮博物院蔵の「祭姪文稿」が日本で初公開されているのである。
私が訪れた時には観覧まで、七十分待ちという人気ぶりで、書に興味を持つ人がまだまだ
たくさんいることがわかる。そして中国の方々の多さに顔真卿の偉大さを感じずには
いられなかった。

   顔真卿が活躍した唐の時代は、経済や社会が安定しており、この時期であったからこそ
書の世界においても最高潮に到達した時代であった。
唐の時代の王朝は書を愛した人が多く、中でも第二皇帝の太宗は、王羲之の書を溺愛
した人物として、有名である。 そしてその時代に活躍していたのが、虞世南、欧陽詢、
褚遂良の初唐の三大家が楷書 を確立させた。
    顔真卿は、王羲之、王献之の書法を基礎として、初唐の三大家の書の特徴を見出 し、
継承しながら、王羲之の貴族的な書風を破り、顔真卿独自の顔法と言われる表現が
出来上がり、特異な筆法として、たくさんの書作品が作り出され、今も残ってい る。

    今回出展されている「祭姪文稿」は、甥の顔季明の霊に捧げた祭文草稿で五十歳の
時の作品であるが、これは行草書の名作と言われており、筆使いで心の中の悲しみ、
憎しみが表れている作品だ。
    顔真卿(がんしんけい)は唐の時代の中でも革新的な書法家として、後世にとても影響
のあった人物で、唐の時代の風潮と、幼少からの学問の才能に恵まれ、かつ彼の
正義感の強い性格が交わり、新しい書が出来…