投稿

9月号「所感」

 今月の所感のご紹介となります。  *2025年9月号 所感 ********************  8月上旬は東京と大阪の濃密な数日を振り返って会員諸氏へご報告 をしたい。  今回株式会社アイディアヒューマンサポートサービスの浮世満理子 先生のご厚意で、 ウクライナ大統領夫人、 オレナ・ゼレンスカさんの来日に併せ、 書道の指導依頼という貴重な機会をいただいた。 浮世先生は、 昨年の秋の展覧会で、 ウクライナ避難民の方々への書道体験会を企画して下さった代表である。  限られた時間の中で、 ファーストレディは初めて持つ筆への戸惑いも感じさせずに、 一画ずつ筆を走らせた。 押さえるところ、 走らせることをその場でお伝えし、 丁寧に 「生」 を書き上げてくれた。 周りからあがる拍手の音が会場内に響き渡ったのが脳裏から離れな い。 そして、 その足で大阪へ。  翌日は大阪・関西万博のウクライナ・ナショナルデー (National Day of Ukraine) の式典と関連イベントがNDホール (レイガーデン) で開催された。 ウクライナ大統領夫人をはじめとする要賓の出席の下、 「ウクライナとともにある」 という強いメッセージが発信されたこの日の式典に招待を受け参加 させていただいた。 さらに東京に戻ってからは、 昨年のウクライナボランティアより、 インバウンド活動において最も尽力されている耕栄支部の小畠さん 、 緑邦支部の田中さんと共に、 東京でのシンポジウムとチャリティーショーに参加する事ができた 。  今回はまたウクライナの3名の方が 「書道を学びたい」 とこれから指導していくようだ。 一生に一度あるかないかの貴重な機会を下さった浮世先生には感謝 の気持ちで一杯である。 先月よりオリジナル商品としてご紹介している半紙の業者さんより 「良質な半紙」 は寝かせる (時間を置く) ことで、 書き味が良くなることがあるということを改めてお伝えしてほしい ということでお伝えしたい。 1. 半紙に含まれる 「水分」 や 「薬品」 が落ち着く 新しい半紙は製造時の加工や湿度の影響で、 墨のノリやにじみが安定しないことがあります。 時間を置くことで、 紙の繊維や成分が落ち着き、 墨を適度に吸い、 にじみやかすれがコントロールしやすくなります。 2. 熟...

8月号「所感」

   今月の所感のご紹介となります。  *2025年8月号 所感 ******************** 来月8月29日 (金) から31日 (日) にかけて、 御岳山にて恒例の夏期御嶽山講習会を開催する。 初心者の方には 「永字八法」 から、 上級者の方にはそれぞれのテーマに応じた課題を用意している。 全国に友人を持つことの素晴らしさや、 また、 御嶽山の自然の中で一人黙々と書に向き合い、 様々な先生方と交流しながら多様な書体を学ぶことの魅力を、 改めて感じられる場となることは間違いない。  合宿では皆で語り合いながら学ぶ時間もあれば、 一人黙々と書に向き合う時間も大切にしている 「一人参加行動もあり」 だ。  誰かと一緒に過ごすのが心地よいときもあれば、 自分のペースで書に没頭したいときもある。 それぞれのスタイルを尊重できる空間を目指している。  また、 今回の合宿には 「もう書は書けないけれど、 宿坊に泊まってみたい」 とご高齢の方からの要望があった。 「書道仲間に会いたい」 といった理由での参加も歓迎している。  書くことだけが目的ではない。  心と身体を整える旅として、 御嶽神社のパワーをもらいにくるご参加も、 ぜひお気軽にどうぞ。 不安な点やご相談がある方は、 本部まで連絡をしてください。  一方、 展覧会に向けては、 暑い中でも少しずつ文字を拾い始めたり、 テーマを決めて練習に取り組む生徒さんが増えてきていることだろ う。  支部長の中には、 自分の作品よりもまず生徒の作品を仕上げなければと尽力されてい る方が殆どではなかろうか。  また、 今年は初めて出品してみようと一歩踏み出した生徒さんや、 そのためにお手本を書こうと準備されている先生もいるのではないか。  個人での出品を目指している方、 一般部の生徒に初めて出品を勧めようとしている支部長の方、 学生部の指導を行う中での悩みを抱える先生方は、 出来る限りの指導や相談を承ろうと思う。  書く楽しさを分かち合い、 出品のハードルを少しでも下げられるようお手伝いしたい。  なんなりと小生迄ご連絡をお待ちしている。  露葉先生の茶話会は2回で50名以上の申し込みをいただいた。 第一回目に参加された方からは、 こんな感想が届いている。  「昨日の櫻井先生のお話が、 ...

7月号「所感」

 今月の所感のご紹介となります。  *2025年7月号 所感 ********************  先月ご案内させていただいた櫻井露葉先生による旅の特別イベント は、 予定定員を大きく超えるお申し込みをいただき、 キャンセル待ちが出るほどの反響がありました。 皆様の関心に改めて感謝申し上げる。 中でも、 50代の女性の参加者からこんなお話をいただいた。 「90歳を超えても、 書を続けておられる同性の方がいるというだけで希望になります。 同じ女性として、 こんな素敵な生き方をしている人に出会えることが嬉しいし、 これからの私の目標になります。 私は先生にお会いしたことがないのですが、 お会いできる日が本当に楽しみです。」  この言葉に、 小生も胸が熱くなった。 人生の後半において、目指したい背中があるということの尊さ。 書という世界が、そうした出会いや希望を繋ぐ場になっていることを、何より嬉しく思う。この企画を計画した妻と子供達に改めて感謝したい。  一方で、 「土曜日はお稽古が入っている」 「ご案内が急で予定が合わなかった」 というお声も複数頂いているそうだ。 そこで露葉先生と妻が相談をさせていただいたところ、 第二回目の開催が決定した。  開催日は 8月17日 (日)。 お申し込みは以下の通りです (※申込方法厳守にてお願いします)。  ・TEL:03-3471-8032  ・FAX:03-5461-1428  ・メール: shokyoin1933@gmail.com ※「所感を見た」 とお伝えいただければ、 本部で対応いたします。  二つ目は先月掲載した墨汁や墨に関する多くのお問い合わせ、 ご注文をいただきましてありがとうございました。 この度企業の協力を得て、 「書鏡」 ブランドのオリジナル墨汁と半紙が完成した。  複数の業者と交渉を重ね、 今の時代にふさわしい書き味と価格のバランスを考慮しながら仕入 れる予定だ。 もちろん、 お好みは人それぞれだが、 皆様の書の時間をより豊かにする一助となれば幸いだ。  このオリジナル商品の発売に先駆けて、 抽選で五名様に墨汁と半紙のセットをプレゼントいたします。  ・応募方法:上記連絡先と同じ (※申込方法厳守)  ・キーワード:「所感を読みました」  ・応募締切:7月10日 (木)  そして、 昨...

6月号「所感」

 今月の所感のご紹介となります。  *2025年6月号 所感 ******************** 第41回日本書鏡院選抜展を無事終了することができた。 ご来場いただいた皆様、ご支援を賜った方々に心より御礼申し上げる次第である。 今回の展覧会では、海外からの来場者に備え、ウクライナ出身のヨナ氏に通訳として協力いただいた。 驚いたのは本院の会員の中に、英語をはじめとする外国語に堪能で、来場者と交流する姿が見受けられたことは、嬉しい限りであった。言葉の壁を超え、書を通じて自然に交わされる交流の光景は、国境を超えて人々とつながる可能性を実感する機会となった。 90か国以上を旅された常任理事・櫻井露葉先生は、今年も鳩居堂選抜展にて「旅」をテーマにした作品を出品されている。 作品集には、旅先で得た感動や想いが綴られており、書を志す者として学ぶべきことに富んでいる。毎年、その旅の話を伺うたびに、年齢を感じさせない行動力と情熱に心を打たれ、力をいただいている。年齢の数よりも訪問した国が多く、ゴルフで例えるならエージシュートの価値があるだろう。  このたび、櫻井先生の貴重な体験談や旅にまつわる品々、写真などを交えたお話会を下記の通り開催する運びとなった。どなたでもご参加いただける機会であるので、ぜひ足をお運びいただきたい。  日時:6月28日 (土) 午後1時30分から1時間程度  会場:日本書鏡院本部(品川区南品川1-2-12) 旅にまつわる作品や品々を通して、書に込められた風景や感動を共有できるひとときとなるであろう。 こうした国際的な広がりの中で、昨年10月より開始した「海外の方向け書道体験」も、回を重ねるごとに確かな広がりを見せている。 これまでに14か国、60名を超える参加者を迎え、各国の言語が飛び交う中でも、筆を通じた心の交流が自然と生まれている。小生も家内も、英語が話せるわけではないが、身振り手振りと笑顔で言葉を超えたコミュニケーションを実感している。  このような活動を支えているのは、他ならぬ会員の皆様である。明るく前向きに取り組む講師陣の姿勢、そして「お金では買えない体験をさせてもらっている」という言葉に、小生も大いに励まされている。場の空気を和らげ、温かく包み込んでくれる彼女たちの存在に、心より感謝の意を表したい。  一方、近頃はニュースで...

5月号「所感」

  今月の所感のご紹介となります。   *2025年5月号 所感 ********************  今年の筆供養は直前にあいにくの雨に見舞われ、 海徳寺のご配慮を賜り本堂での供養が執り行われた。 終えた頃には、 雨も止んでおり、 境内でのお焚き上げが叶った。 燃え盛る火鉢の中へ役目を終えた筆を投入することが出来、 改めて道具への敬意を再確認する貴重な時間となった。  その後に行われた支部長会議では、 それぞれの支部長からさまざまな意見や、 今後の指導を含めた課題が寄せられた。  どのご意見も現場で実際にご尽力されている先生方だからこそ出て くるものばかりであり、 本部としてもこれらの声をしっかりと受け止め、 今後の運営方針にどのように反映していくか、 真剣に考えていきたいと思っている。  会員諸氏が書の活動をしやすい環境をととのえることが、 書の発展にもつながると痛感した。 早急に対応していきたいと考えている。  書道を取り巻く環境は少しずつ変化しているが、 だからこそ私たち一人ひとりが何を大切にし、 次世代へ何を伝えていくかが問われている時代だと感じる。 会員の皆さまが安心して活動できるような体制づくり、 そして書を通じて人と人がつながっていけるような機会を、 今後も増やしていければと考えていきたい。  4月29日より 「鳩居堂 選抜書展」 が開催される。 先生方の力作が一堂に並ぶ貴重な機会であり、 作品から得る学びが多いかと思う。 お近くにお越しの際は、 ぜひ会場へ足をお運びいただき、 それぞれの書に込められた思いや表現に、 じっくりと向き合っていただけたら嬉しく思う。    *(耕史記)****************************

4月号「所感」

  今月の所感のご紹介となります。   *2025年4月号 所感 ********************   春の訪れとともに、 荏原神社には多くの海外の方々が訪れ、 寒緋桜を堪能する姿が見受けられるようになった。 荏原神社のインスタグラムを見ても、 桜を背景に撮影した海外の方々の写真が数多く投稿されており、 この地域にも海外からの観光客が増えていることを実感するこのご ろ。  さらに、 冬の間は少し落ち着いていた海外の方々からの書道体験の予約も、 2月から再び増え始め、 平日以外の月に2~3回ほどのペースで申し込みが入るようになっ た。 今月はルーマニア、 フランス、 イギリスをはじめ様々な国の方々が書道への憧れを持ち、 体験に訪れてくれる。  彼らと筆を交え、 文化を共有する時間は、 私たちにとってもかけがえのないひとときである。  インバウンドメンバーたちも、 「お金には代えられない楽しさを、 この活動を通じて経験させてもらっている」 「何か協力できることがあれば」 といった温かい言葉をいただくことも多く、 書道をきっかけに国境を越えた交流が生まれていることに感謝の気 持ちで一杯だ。 異なる言語や文化の中で、 書道という共通の体験を通じてつながれることの素晴らしさを、 日々実感している。  そして、 これから夏休みに向けて、 より多くの海外の方々に書道を体験していただけるよう、 着々と準備を進めている。 海外の方々に 「Shokyo (書鏡)」 を知ってもらい、 日本文化の奥深さを伝える場を広げていくことが、 今後の目標だ。  さて、 4月6日には、 海徳寺で 「筆供養」 が開催される。 筆供養は、 使い古した筆への感謝を込めて供養し、 書に向き合う心を新たにする大切な行事だ。 しかし、 残念ながら参加者は年々減少しており、 その素晴らしさが十分に伝わっていないように感じる。  筆は単なる道具ではなく、 書く人の想いを受け止め、 形にする不可欠な存在だ。 日本の伝統文化の中で、 道具を大切にし、 役目を終えたものに感謝を捧げる心は、 美しい習慣の一つである。 特に書道に携わる者にとって、 筆は特別な意味を持つ。 一本一本の筆が、 私たちの手元でどれほどの時間をともに過ごし、 どれほどの想いを表現してきたのかを考...