6月号「所感」

 今月の所感のご紹介となります。 

*2025年6月号 所感 ********************

第41回日本書鏡院選抜展を無事終了することができた。

ご来場いただいた皆様、ご支援を賜った方々に心より御礼申し上げる次第である。
今回の展覧会では、海外からの来場者に備え、ウクライナ出身のヨナ氏に通訳として協力いただいた。
驚いたのは本院の会員の中に、英語をはじめとする外国語に堪能で、来場者と交流する姿が見受けられたことは、嬉しい限りであった。言葉の壁を超え、書を通じて自然に交わされる交流の光景は、国境を超えて人々とつながる可能性を実感する機会となった。

90か国以上を旅された常任理事・櫻井露葉先生は、今年も鳩居堂選抜展にて「旅」をテーマにした作品を出品されている。
作品集には、旅先で得た感動や想いが綴られており、書を志す者として学ぶべきことに富んでいる。毎年、その旅の話を伺うたびに、年齢を感じさせない行動力と情熱に心を打たれ、力をいただいている。年齢の数よりも訪問した国が多く、ゴルフで例えるならエージシュートの価値があるだろう。

 このたび、櫻井先生の貴重な体験談や旅にまつわる品々、写真などを交えたお話会を下記の通り開催する運びとなった。どなたでもご参加いただける機会であるので、ぜひ足をお運びいただきたい。
 日時:6月28日 (土) 午後1時30分から1時間程度
 会場:日本書鏡院本部(品川区南品川1-2-12)

旅にまつわる作品や品々を通して、書に込められた風景や感動を共有できるひとときとなるであろう。

こうした国際的な広がりの中で、昨年10月より開始した「海外の方向け書道体験」も、回を重ねるごとに確かな広がりを見せている。
これまでに14か国、60名を超える参加者を迎え、各国の言語が飛び交う中でも、筆を通じた心の交流が自然と生まれている。小生も家内も、英語が話せるわけではないが、身振り手振りと笑顔で言葉を超えたコミュニケーションを実感している。
 このような活動を支えているのは、他ならぬ会員の皆様である。明るく前向きに取り組む講師陣の姿勢、そして「お金では買えない体験をさせてもらっている」という言葉に、小生も大いに励まされている。場の空気を和らげ、温かく包み込んでくれる彼女たちの存在に、心より感謝の意を表したい。

 一方、近頃はニュースでも報じられている通り、米の価格が高騰しており、我々の生活にも影響を及ぼしている。
書道に関わる書用具も同様に価格上昇が続いており、支部長の中には、生徒のために質の高い道具を自費で提供している方もおられるというお話を聴くことがある。

 こうした状況を受け、日本書鏡院として何か支援ができないかと模索してきた結果、第一弾として、長年お付き合いのある宮内庁御用達・奈良「松壽堂」様のご協力のもと、本部取りまとめにて、墨および墨汁を定価より割引価格で販売することが決定した。
 松壽堂の上質な製品は、書を志す者にとって欠かせぬ逸品であり、これを機に多くの方にご愛用いただけることを願っている。詳細は日本書鏡院のホームページ(販売ページ) に掲載しているので、 ご確認いただきたい。

ご不明点やご注文に関しては、下記までご連絡をいただきたいと思っている。
 電話番号:03-3471-8032  
 ホームページ:お問い合わせ欄より

今後とも、日本書鏡院は書を通じた人と人との縁を大切にし、会員諸氏が安心して長く書と向き合っていけるよう、努めてまいる所存である。

*(耕史記)****************************