12月号「所感」

 今月の所感のご紹介となります。

*2024年12月号 所感 ********************

第65回記念日本書鏡院展が無事に終了した。今年も会員の皆様のおかげで、多くの成果を得られたことに心から感謝申し上げる。

今年は初の試みで、全国心理業連合会の方々と、ウクライナ大使館の協力を得て、避難民の方々に書道体験を提供することができた。

東京都美術館のご協力もあり、ウクライナの皆様に楽しんでいただける貴重な場を実現する事が出来た。当日は大使館より、 インナ書記官、中谷元防衛大臣が挨拶に駆けつけて下さり、 場が一層華やかになった。

参加したウクライナの皆様方より「書道は完成までのプロセスが楽しかった。」「普段の私は気忙しくしちゃう性格だから、
あんなにゆっくり静かに書いた経験がなかったから楽しかった!」 「あなたのコーチが良かったから書けた。」 「(墨の香り)この匂いはどこかで嗅いだことがある匂いだ、ただそれがどこかは思い出せない。」といった感想が寄せられ、心に響く交流が生まれた。

参加された1人が来週から本部に習いに来ることも決まった。
このご縁を繋いだ指導者に感謝したい。日本の伝統文化である書道が、
国境を越えて感動を与えたことに深い歓びを感じずにはいられない
また、指導者として参加してくださった会員の皆様からも「初めて挑戦するウクライナの方の真剣な姿に勇気をもらった」「書道の楽しさを共有できた」という多くの感想が届いた。ある方は「自分のためだけの書道が、誰かの役に立てると実感できたことは人生の宝物」 と。
 「ウクライナの方々との交流に書を通してとても温かい心を感じました。皆さん、書も日本語もお上手でびっくりしました。お名前に書かれた漢字一つ一つにも興味を示されていらっしゃいました。素敵な会に参加させて頂き、 私も色々学ばせて頂けて、感謝申し上げます。会長様にも個人で書を続けている状況の私にご助言を頂きまして大変有り難かったです」

今回の交流は日本とウクライナの絆を深めるものだけではなく、会員とも絆が深まったことを実感している。
会場設営や参加者へのサポートでは、担当分けや準備を事前に行ったことで、スムーズに運営を行い、設営会社からもお褒めの言葉をいただいた。
参加者全員が一丸となって協力する姿が非常に印象的だった。一方で、審査員室での展示については写真撮影の制限など然るべきご意見も頂いた。皆様の意見をきちんと受け止めたい。


今回のイベントを通じ、書道が国際交流の架け橋として機能することを改めて感じた。
少女から70代までのウクライナの方が笑顔で書道を楽しんでいる姿や、楽しそうに指導にあたる会員の姿を見て、
この場が平和で貴重な時間であると確信した。
過去に戦争を体験している日本国民として。
身内の祖父がサイパン沖で戦死した。そして祖父が亡くなったことでその後残された家族が昭和の激動の
生き方を話してくれた。
今のこの豊かな時代にウクライナの方々がこういった辛い体験に直面しているかと思うと、 お話を頂いて何かお手伝いしたい気持ちが強かった。

これからもウクライナとの交流を深めつつ、11月と12月には小学校での「文字のおくりもの」や未来塾での書き初め指導を行う予定だ。11月21日の 「文字のおくりもの」には15名の指導者がエントリーし、新しいメンバーとともに活動を進めていく。さらに、PTA主催の書道イベントも控えており、多くの親子に書道の魅力を伝えられるよう発信する予定だ。私たちの活動が、 書道を通じて多くの人に感動を届け、日本と世界とのつながりを広げるために、引き続き精進していく。

一歩踏み出し始めた会員が生き生きと活動している。是非その後を追って大きな一歩を踏み出すために会員諸氏の一歩を
踏み出してほしい。
与えられた残りの人生を書道を介して楽しみ尽くして欲しい。

*(耕史記)****************************