1月号「所感」
今月の所感のご紹介となります。
*2023年1月号 所感 ********************
新年あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いいたします。 早いもので令和5年。 月日が過ぎるのは本当に早い。 年を重ねれば重ねるほど強く思う。 昭和8年から続く日本書鏡院。 伝統を絶やさず今年で90年を迎える。 会員1人1人の 「個」 が 「正統の書」 を理解し、 真面目に書道に取り組み、 「和」 となって繋がる。 細く長く続けてきてくれたからこそ 「日本書鏡院」 の今がある。 理解しているつもりでも、 伝承していくと決意しても肌で感じることはそうそうない。 月並みだが後悔なく自分なりに幸せに暮らす日々を積み重ね、 喜びながら自分のペースで 「書」 が出来る環境があることは幸せなことだ。 会員諸氏には感謝を申し上げたい。 秋の個展で改めて気づいたこと AIの時代とはいっても、 機械の助けがあったとしても、 最終的には人間を軸に物事を考える。 互いを理解し、 よりよくしていくための関係を構築していくにも年代を超えて、 「人」 と 「人」 のつながりがとても大切なことなのだ。 今回90代・80代の方が1人で元気に見に来てくれた。 さらには病と闘病中にも関わらず、 制止を振り切ってきてくれた方もいた。 何度も足を運んでくださった方がどれだけいただろう。 コロナ禍で大人数の集まりが制限され、 小生と同年代の息子さんや娘さんに止められても1人で個展に駆けつけてきてくださった方がどれだけいただろう。 「こっそりきちゃった。 どうしても目に焼き付けたくてね」 「10月号の1ページの本物を見に来たわ」 など嬉しい言葉をたくさん聞くことができた。 私の作品がどれだけの方の脳裏に焼き付けることが出来ただろう。 そしてもう一つの気づき。 年を重ねると、 人には言えない悲しみがある人も世の中にはたくさんいるということも気づかされた。 正直小生はこの方々のお言葉に響いてしまった。 コロナ禍で何かやりたくても我慢や遠慮をしてしまっている自分、 周りの雰囲気で自分らしさを出しきれない自分、 人と人が自分を引き出してくれるはずなのに居場所がない自分。 「私の事わかりますか?」 「私の言葉伝わっていますか?」 「私はここにいます」 という気持ちが素直に言えない自分。 そんな失意の中、 小生の書に出会って感じた自分。その思いを大切に読み上げた。 みんなが求めているもの。 それは難しい漢字でもない。 意味がわからない、 読めない文字でもない。 ただストレートに、 筆文字から伝わる思いを人々に与え、 見た人たちそれぞれが想像をかきたたせる作品こそが唯一無二の作品なのだ。 そう。 「言葉」 こそが人とのほど良い距離に寄り添う大切なものなのだ。 優しい言葉を聞く。 読む。 話す。 見て感じる。 直接触れ合うことができなくても何倍もの 「愛」 を受け取ることができるのが 「言葉」 なのだ。 さあ会員諸氏も今年は 「書くというプレゼント」 を大切な家族・友人に贈ってみませんか? 筆文字から思いを世界中の人々に感動を与えましょう! 小生もあぐらをかいて時代の変化に乗り遅れてはいけない。 「挑戦こそが私の人生」。 邁進していくのみである。
*(耕史記)****************************