4月号「所感」
筆供養のご案内と、介護への会長の想いをご紹介いたします。
*2021年4月号 所感 ********************
一都三県の緊急事態宣言の再延期。 ニュースを見ても街並みを見ても人の動きは変わらない。 去年の今頃、 小池都知事の 「ロックダウン」
という言葉や、 有名人の死にどれだけ国民がピリッとした空気になったか。 あれからもう一年も経ったのか。
あの時のピリッとした気持ちに今戻れるかと言ったら、 正直緩んでいる自分がいることに気づく。
昨年中止になった筆供養は、 四月四日十四時から日本書鏡院本部隣、 海德寺で行われることが正式に決定した。 今年の筆供養はステイホーム期間中に使用した筆がたくさん集まると予想される。 いまだ使用した筆をなにげなくゴミ箱に捨てていた会員諸氏の皆さん。 このコロナ禍の中の時期に魂を込めて使用した筆に、 感謝する意味でも是非筆を持参し、 供養してほしい。
筆供養は筆塚が外にある為、 戸外で行われること、 広い海德寺の敷地でお焚き上げを行うのでソーシャルディスタンスが十分とれること。 感染対策をとりながら出来る限りの参加を希望する。 もしそれが叶わなくても四月四日までに筆を送付頂けたら、 皆さんの代わりにその筆を供養したいと考える。 支部長始め、 個人での送付も受け付けたい。
去年の目黒川の桜は心がざわつきながら眺めていた記憶がある。 今年は会員諸氏の筆を窯に入れながら、 お焚き上げの炎のそばに立つ桜の花を眺め、 開催できる喜びを、 久しぶりに会う会員諸氏と分かち合うと共に、 人生は自分の思う通りにはいかない。 自分が悔いの残らないように一日一日やれることを一生懸命やっていこうと小生は思いたい。
同じく昨年中止となった第三十七回鳩居堂選抜展も今年は開催することを決定した。 感染対策を十分講じて来場者の皆様をお出迎えしたい。 五月四日までにワクチンを一人でも多くの方が打ち始め、 感染者数、 病床者数が減少してくれていることを今から願うばかりである。
さて先月父の介護の事を所感で書いたが、 色々な方から 「父の介護の様子がとてもよくわかった。」 「私も介護をしているので、 大変さがよく理解できる。」 といったお話をいくつもいただいた。
今回つくづく感じた事。 それは父が生活していくうえで、 ケアマネさんの日々の計画があってこそ全ての業者が上手く循環していることを身をもって体験している。 ケアマネさんの綿密なスケジュールがなければ、 さらにはケアマネさんに人選していただいた全ての業者の方々の心優しい思いで父に接している姿を拝見し、 この人選はケアマネさんの力量がなければなかなか出来ないであろうと感じた。 本当に感謝したい。
一月末まで父を自宅で介護したあと、 母の体調の事や、 自宅にいるとなかなか父もベッドから出ることが出来ず、 運動不足になることなどを考え、 一時的に父には老人保健施設に戻ってもらった。 自宅が別天地と言っている父は 「戻りたくない」 の一点張りだが理解できる。 好きな国会中継のテレビを見て、 三食自分の好きなものを食べることができ、 おやつもチョコやケーキ等、 自分の好きなものがでるから当然のことであろう。 ここでふと感じたのが、 介護される側にはたくさんの手があり、 父にとって何不自由なく自宅で生活ができることである。 父には居心地のよい場所なのだ。 しかし実は介護している側には、 差し伸べる手が全くないことに気づいた。 やはり父が施設に戻ったあと、 家族みんな気が張っていたのであろう。 疲れもどっと出た。 母も少しの間昼間に睡魔が襲ったようだ。 妻はケアマネ・施設・病院・業者の窓口になってくれていた。 無事に何事もなく父を自宅介護できたとホッとしたのか、 父が施設に戻った日に妻がケガをしてしまう始末。
そうこうしているうちに父が自宅に帰ってくる。 あっという間だ。 今度は前回とは違い、 少し介護に慣れた生活を送っている。 今は車いすに少しでも長く座ることができるよう頑張ってもらっている。 それは去年見ることができなかった自宅前の目黒川沿いの桜を見ることが今の父の目標なのだ。
*(耕史記)****************************